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日本で接種が始まった新型コロナウイルスワクチンの各社での違い、有効性の差、副作用は?

いよいよ日本でもワクチン接種が本格的に始まりました。

開発に一年たらずという短期間の接種開始には医療関係者の私も不安はぬぐえませんが、普通の暮らしや経済に戻すことを考えれば、致し方ないのかもしれません。

今回は新型コロナウイルスワクチンについてまとめてみましたので、ご覧ください。(Revised 2021/5/26)

2020年12月から世界でワクチン接種開始

2020年12月より世界各地で始まった、新型コロナウイルスのワクチン接種。日本では

2021年2月下旬より、医療従事者等から接種開始の予定です。

 

 

 

 

 

通常、ワクチンの開発から実用化までには10年以上かかることも珍しくないそうです。そんななか驚異のスピードで登場したコロナワクチンですが、果たして有効性や安全性はどうなのでしょうか?

今までのワクチンとは違うタイプ

作用機序

ファイザー/ビオンテック社とモデルナ社のワクチンはRNAワクチンと呼ばれるものでウイルスの遺伝コードのごく一部を脂質で包み込んでいます。

体内に入ると、新型ウイルスのスパイクたんぱく質が作られ、これに反応してウイルスと戦う抗体やT細胞が生成されます。

実際に新型ウイルスに接触したときには必要なものがそろっています。

オックスフォード/アストラゼネカ社のワクチンは違う手法をとっています。

チンパンジーが感染する通常の風邪ウイルスを、人間には感染しないように改変し、そこにCOVID-19の遺伝コードを少しだけ足しています。

体内に入ると新型ウイルスのスパイクたんぱく質が作られ、免疫系が反応します。(BBC News JAPAN)

保管と輸送

ファイザーのワクチンはー70℃で保管し、そこで最長6か月保管できるそうです。投与前には冷蔵庫で最長5日間保管できます。

モデルナ社はー20℃で保管ですので、ファイザーほどの縛りはないようです。

オックスフォード/アストラゼネカ社のワクチンは3~8℃で通常の冷蔵庫で保管できるようです。(BBC News JAPAN)

有効率は70-90%

2020年11月に中間解析結果が報告されたファイザー・ビオンテックのワクチンは約90%、米モデルナは約94%、英アストラゼネカは約70%の有効性が報告されています。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、COVID-19 ワクチンを承認する条件として、有効率 50%以上、最低でも 30%以上という条件を提示していましたが 、それを上回る有効率ですね。

ワクチンの有効率 90%というのは「90%の人には有効で、10%の人には効かない」もしくは「接種した人の 90%は罹らないが、10%の人は罹る」という意味ではありません。

接種群と非接種群(対照群)の発症率を比較して、「非接種群の発症率よりも接種群の発症率のほうが 90%少なかった」という意味です。発症リスクが、0.1 倍つまり 10 分の 1 になるとも言えます。

安全性は?

日本感染症学会から出されたCOVID-19 ワクチンに関する提言(第 1 版)にCOVID-19ワクチンの有害事象などが報告されています。

(短期的な有害事象)

局所反応(注射部位の反応)では、mRNAワクチンの疼痛の頻度が70~80%台と高いようです。

疼痛の中でも、ファイザーのワクチンでは、1 回目接種後の約 30%、2 回目接種後の約 15%に、日常生活に支障が出る中等度以上の疼痛が報告されています 。

 

 

 

 

 

mRNA ワクチンでは、さらに全身反応の有害事象が高頻度にみられています。とくに、倦怠感、頭痛、寒気、嘔気・嘔吐、筋肉痛などの頻度が高くなっていますが、これらの症状は対照群でもある程度みられています。

発熱(38℃以上)は 1 回目では少ないですが、2 回目の接種後10~17%みられています。発熱は対照群ではほとんどみられていませんので、ワクチンによる副反応の可能性が高いと思われます。とくに高齢者よりも若年群で頻度が高い傾向があります。

重篤な(serious)有害事象は、ファイザーの臨床試験では接種群で 0.6%、対照群で0.5%、モデルナの臨床試験でも両群で 1%と差がありませんでした 。アストラゼネカの髄膜炎菌ワクチンを対照群とする臨床試験でも、接種群 0.7%、対照群 0.8%と差がみられていません 。

これらの臨床試験における 75 歳以上の割合は、ファイザー0.4%、モデルナ0.5%であり、アストラゼネカの臨床試験でも 70 歳以上が 6.8%にすぎず、超高齢者への接種の安全性も十分確認されているとは言えません。またさまざまな基礎疾患をもつ方も被接種者に含まれているとは言え、その数は十分ではありませんので、今後さらに基礎疾患ごとの安全性に関する報告を待つ必要があります。

現状でのコロナウイルスワクチンの問題点

このような臨床試験は、まだ観察期間が短く、効果がいつまで持続するかわかりません。また、長期的な合併症についても明らかではありません。現時点のデータだけからは、短期的な有効性は高いのかもしれません。ただし、副作用はそれなりに強そうです。我々は、このワクチンとどう付き合えばいいのでしょうね。

インドネシアでは高齢者の接種を除外

世界はコロナワクチンとの付き合い方を巡り試行錯誤を繰り返している。世界の多くの国が医療従事者から接種を始めていますが、次に接種するのは、日本のように高齢者や持病を有する人とは限りません。インドネシアでは高齢者より現役世代を優先する考え方をとっています。これはインドネシア政府が感染抑制のために、活動が活発な現役世代の感染抑制を優先することに加え、高齢者での安全性が確立していないことを重視したからでしょう。

副作用に関して衝撃のニュース

2021年1月15日、新型コロナウイルスワクチンの安全性に関する衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。

ノルウェーでコロナワクチンを接種した高齢者23人が死亡したというのです。接種したのは米ファイザー・独ビオンテックのワクチンで、ノルウェー医学庁によると、死者13人は剖検されており、ワクチン接種との関連が示唆されるといいます。

米国でも、50代の男性医師が、接種後に重度の皮下出血を起こし、16日後に死亡しています。さらに米国でファイザー・ビオンテック製のワクチン接種を受けた約190万人のうち、21例が重度のアレルギー反応を発症していることがわかりました。ワクチン接種に付きものの副反応ですが、その頻度は従来のワクチンでは100万回の接種に1回程度とされていますので、コロナワクチンでは多いのかもしれません。

医師のアンケート調査から

Medical Tribune誌の医師アンケートによるとまだ慎重姿勢のDr.が多いことがわかります。

優先接種者の情報を待ちたいという気持ちはわかりますね。

 

 

 

 

 

 

Newsweek日本語版のコメントから

長期的な副作用は否定できなくてもワクチン接種は受けるべきか

ジョンズ・ホプキンズ大学公衆衛生学大学院のモスは、次のように語る。「アメリカはまだ感染拡大を抑制することができていない。感染すれば死ぬ可能性もあるのだから、チャンスがあればすぐにでもワクチン接種を受けるのが賢明だろう。感染リスクや重症化リスクが高い人々にとっては特に、リスクを上回る利点があると思う」

サウスカロライナ大学の免疫学者プラカシュ・ナガルカッティ教授も、同じような考えだ。「特に重症化リスクが高い人は、できる限りはやくワクチン接種を受けるべきだし、ワクチン接種を受ける人が多いほど、集団免疫が達成されやすくなり、新型コロナウイルス感染症を撲滅して普通の生活に戻れる可能性が高まる」

とコメントしています。

まとめ

今回は、新型コロナウイルスワクチンの種類、有効性、安全性の報告と衝撃的なワクチン接種後のニュースも取り上げました。

ある程度安全性が確認されているとはいえ、接種には慎重になる人の気持ちもわかります。

日本政府も、ひきつづき、しっかりした体制で、ワクチンの供給と長期の追跡調査、有害事象発生時の対応や具体的な補償に関する情報などもしっかり考えておいて発信してほしいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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