今日は2022年6月19日。全国梅雨入りしましたが、たまの晴れ間だと、すでに夏のような暑さで熱中症に注意が必要です。
週末はロードバイクに乗っている私も、首、肩、腰のこりや筋肉痛に悩むときもあります。
先日の記事では、温冷浴が疲労回復に効果的だという記事を書きました。
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サイクリング後、運動後の疲労回復に温冷浴がおすすめな理由と宮崎青島のおすすめ日帰り温泉
今日は2022年5月22日です。 現在、季節的にはサイクリングにピッタリの季節ですね。 ついついロングライドに出かけたくなる季節です。 ただ、そのあとの疲れがなかなかとれない、っていう方も多いはずです ...
夏場はロングライドやヒルクライムイベントは少ないですが、こういう時期に解熱鎮痛剤を飲んでサイクリングを強行し脱水になると「急性腎障害」に陥るリスクがあることはご存じですか?
暑い時期の「解熱鎮痛薬」服用に注意
頭痛や腰痛などの痛みや、熱があるときに用いる解熱鎮痛薬ですが、暑い夏の脱水時の服用には注意が必要です。腎臓に負担がかかる「解熱鎮痛薬」と「脱水」というリスクが重なって急性腎障害に陥るおそれがあるためです。
新型コロナワクチン接種後の熱や痛みに解熱鎮痛薬を服用する人もいるでしょう。
腎臓を守りながら安全に薬を服用するにはどうすればよいのでしょうか?
腎臓の働き
腎臓の役割のひとつは、血液のなかの老廃物などをろ過して尿を作り、外へ排泄することです。急性腎障害のタイプは、原因によって3種類に分けられます。
①腎臓にはいってくる血液の量が減る(腎前性)
②腎臓そのもののがダメージを受ける(腎性)
③腎臓でできた尿の排出がせきとめられ、腎臓のはたらきが短期間のうちに低下する(腎後性)
多くの場合、原因を取り除くことで、進行を止めたり、改善させることができますが、放っておくとダメージが進み、ほかの臓器の障害も併発し(心不全や肝不全など)深刻な状態に陥ったり、慢性腎臓病に移行したりする場合もあります。
腎臓を守るためには早期発見と早期対応が大切ですが、初期では「尿量が少なくなる」「むくみ」「体がだるい」などで特徴的な症状がありません。これでは早期に気づくのは難しそうですよね。
では、急性腎障害にならないように腎臓を守ることはできないのかというと、そうではありません。
腎臓に負担をかけるリスクは何かを知って、リスクを避ける
急性腎障害のリスクには、高齢、複数の医薬品の服用などがありますが、暑い時期に特に注意を要するのが「解熱鎮痛薬」と「脱水」が合わさった状態です。
解熱鎮痛薬のうち、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、腎臓に入ってくる血液量を減少させます。
腎臓に届く血液の量が減少すると、血液によって腎臓に届けられる酸素や栄養が減って、腎臓のはたらきが低下し傷つきます。
サイクリング+解熱鎮痛剤は大きなリスクに
NSAIDsを飲んでいる人が、サイクリングで大量の汗をかき、補給が追い付かず脱水になったらどうなるでしょうか。マラソンの前に鎮痛剤を飲むのも同じ状況です。
脱水になると体のなかの水分量が減り、体をめぐる血液量も減ります。すると、薬の影響で減った血液量がさらに少なくなります。腎臓に届く酸素や栄養がさらに減って、腎臓がうまく機能しなくなり、急性腎障害のリスクが高まります。ですので、暑い時期に解熱鎮痛薬を飲むときには特に注意が必要というわけです。
解熱鎮痛剤による腎障害は腎前性のタイプ
ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤) による急性腎不全は、『腎前性急性腎不全』です。NSAIDsは、アラキドン酸代謝経路において、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによりプロスタグランジン(PG)産生を抑制します。これにより、PGE2 やPGI2などによる腎血管拡張系が低下し、アンジオテンシンⅡやノルエピネフリンなどの腎血管収縮系が優位となります。
簡単にいうと、腎動脈が収縮し腎血流を減少させると考えられています。重症例では、腎組織に虚血性の変化を引き起こします。
急性腎障害のリスクになる「脱水」と「解熱鎮痛薬」が重なることがないように注意して腎臓を守ることが大切です。
腎臓を守りながら解熱鎮痛薬を上手に使うには?
厚生労働省が公表している「重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性腎障害(急性尿細管壊死)」は、リスクとして次のようなことを挙げています。
・高齢
・脱水
・発熱している
・食事の摂取量が減っている
・複数の医薬品を服用している
・腎臓、心臓、肝臓などにもともと慢性の病気などがある
特に高血圧などの治療で、降圧薬(レニン・アンジオテンシン系阻害薬)や、利尿薬を飲んでいる人は注意しましょう。NSAIDs、降圧薬、利尿薬の3種類の併用は急性腎障害のリスクを高める組み合わせです。
降圧薬や利尿薬を飲んでいる人、リスクにあてはまる人は、解熱鎮痛薬を飲む際には事前にかかりつけ医や薬剤師に服用の仕方や注意点を確認しておくと良いでしょう。
解熱鎮痛薬は漫然と服用せず、症状があるときに使う
NSAIDsは漫然と服用しないようにしましょう。
NSAIDsは腰痛などの痛みを緩和したり、熱を下げたりといった症状を和らげる作用はありますが、病気そのものを根本的に治療する薬ではありません。
医師に処方してもらった薬の場合には、定期的に服用することに治療上の大事な理由がある場合があります。したがって病院でもらった薬は自己判断で調整せずに、医師や薬剤師に相談しましょう。
市販の解熱鎮痛薬を選ぶときのコツ1-飲み薬と外用薬どっちが良い?-
塗り薬や貼り薬などの外用薬で対処できそうな場合は、飲み薬よりまず外用薬を使用することがすすめられます。
外用薬の場合、飲み薬に比べて全身への影響は少ないとされています。また、成分が皮膚から吸収されて効率よく患部に届き、痛みや炎症を抑えます。
ただし、適切な量を超えて体中に大量のシップを貼ったりした場合では、血液中に移行する成分の量が多くなるため副作用が現れるおそれがあります。
市販の解熱鎮痛薬を選ぶときのコツ2-飲み薬の選び方-
解熱鎮痛薬には1つだけの成分が入った薬もあれば、いろいろな種類の成分が1粒のなかに入った製品もあります。
腎臓へのダメージを避けるにはどのような製品を選べばよいのでしょうか?
複数の成分が入ったものよりは、1種類だけの成分が入った解熱鎮痛薬がすすめられます。
1粒のなかに複数の薬が入っていると、その分飲み合わせなどに注意が必要で、好ましくない症状が体に起きる可能性があります。
では、解熱鎮痛薬の成分についてはどうでしょうか。
どうしても必要なときは、アセトアミノフェンを選ぶとよい
解熱鎮痛薬には、アセトアミノフェン(商品名:カロナール、タイレノールなど)や、NSAIDs(商品名:ロキソニンなど)といった種類があります。急性腎障害のリスクを配慮するのであれば、アセトアミノフェンを選ぶと良いでしょう。アセトアミノフェンは急性腎障害のリスクは低いと言われています。
解熱鎮痛薬は頭痛や熱などのつらい症状があるときに助けになる薬です。ただし、脱水などの急性腎障害のリスクが重なりやすい時期には、自分がもともと持っているリスクを踏まえて使用することが大切です。もし、服用に際して心配なことがある場合には、かかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。
アセトアミノフェンの各通販サイトへのリンク
アセトアミノフェン(商品名:カロナール、タイレノールなど)は比較安全なお薬です。ロキソニンなどのNSAIDsを飲んで脱水になることは避けましょう。
各通販サイトへのリンク、ご利用ください。
まとめ
今回は、解熱鎮痛剤と脱水の組み合わせが、急性腎障害の大きなリスクになることをテーマに記事を書きました。どうしても必要なときは外用薬にするか、アセトアミノフェンにするかなど、代替案を考えましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。