東京2020パラリンピック開催中の今も、コロナはなかなか収まる気配がありません。
今回は、肥満がコロナ感染リスクを上昇させ、高度肥満でワクチンが効きにくくなる恐れがあるという研究が発表されましたので、記事にしました。
肥満でコロナ感染重症化のリスク
米国のノースカロライナ大学の研究グループは、今年1~6月に実施された75件の研究データを検証。関連した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者は合わせて約39.9万人です。55%が男性で、欧米だけではなくアジア、南米のデータも入っています。
その結果、肥満の人は、そうでない人に比べ、COVID-19の罹患リスクが46%高いことが判明しました。
さらに、入院が必要となるリスクは113%、集中治療室(ICU)で治療を受けるリスクは74%、ウイルスによる死亡リスクは48%、それぞれ上昇しました。
なぜ肥満でコロナが重症化するの?
肥満と2型糖尿病や高血圧、心臓病、慢性腎臓病、肝臓病といった基礎疾患は関連が深く、それぞれがCOVID-19を悪化させる要因と考えられています。
肥満の人は、血糖が適度に制御されていない状態で、血糖値が慢性的に高くなっていることも多く、これが免疫細胞の機能を損なうことがあります。
肥満の人は、慢性的に軽度の炎症を体内に引き起こしており、主に動物脂肪に含まれる長鎖飽和脂肪酸などは炎症を誘起しやすく、肥満化した内臓脂肪組織でも免疫細胞と肥満状態の脂肪細胞の間で慢性の炎症状態を作り上げてしまっているようです。
さらに、肥満は心臓や呼吸器、腎臓などの臓器への負担も重くしてしまいます。
肥満の方でも日常のちょっとした対策
日々の食事の中で肉中心の副食から魚中心の副食に替えてみたりオメガ3脂肪酸で植物由来のα—リノレン酸を多く含む食用油を使うようにすることで炎症を起こしにくい体に変えることも可能です。
善玉腸内細菌を活発化するためにプレバイオティクスとして野菜や穀類に含まれる食物繊維を摂ったり、プロバイオティクスとして納豆、味噌、醤油、漬物などの発酵食品を摂ることが免疫バランスを正常化し慢性炎症を抑えるためにも有用なようです。
高度肥満によりコロナワクチンの効果が薄れるおそれ
南多摩病院が発表した研究によると、 ファイザー社製ワクチン(BNT162b2)を接種した職員に対して、
接種前と接種1回目後、2回目後に抗体かを測定し、低抗体価群(94名)、非低抗体価群(280名)の2群に分け, 抗体価に影響を与える因子を統計学的に解析しました.
評価項目は、年齢、BMI(体格指数)35以上、高血圧、糖尿病、高脂血症、γーGTP, 血糖値、HbA1c, 週当たりの野外活動のあり、なしです。
この結果、年齢(年齢が高いこと)・BMI35以上の肥満・野外活動歴なしが、ワクチン接種後に低抗体価となるリスク因子である可能性が示唆されました.
ノースカロライナ公衆衛生大学院栄養学部のメリンダ ベック教授も、肥満症の人はワクチンを接種を受けても、その予防効果が薄れる可能性があると懸念しています。ベック教授のこれまでの研究で、インフルエンザワクチンは、BMIが30以上の人では効果が減少することが示されています。新型コロナウイルスのワクチンでも同じことが起こるおそれがあると警告しています。
「肥満によりワクチンがまったく効かなくなることはなく、ある程度の免疫力は期待できますが、ワクチンの効果を考えるうえで、肥満を重要な因子として考慮する必要があります」と、ベック教授は述べています。
ロックダウンや外出自粛により不健康な食事が増えた
コロナによるロックダウンや外出自粛により多くの人が生活スタイルが不健康になり、健康的な体重を達成または維持するのが困難になっているようです。
「外出の自粛により、健康的な食品にアクセスするのが難しくなった人や、経済的困難のために、食糧不安を抱えている人が増えています。そうした人がジャンクフードの摂取や過食から肥満になり、感染症のリスクがさらに上昇するという、悪循環に陥っています」と、ポプキン教授は言います。
パンデミックのために外出できなくなり、ストレスを感じているだけでなく、食料品店に頻繁に足を運ぶこともできなくなった。その結果、超加工食品やジャンクフードなど、より安価で不健康な食品や高カロリー飲料への需要が増えているそうです。
「そうした食品の多くは、精製された吸収の速い炭水化物、糖質、飽和脂肪酸が多く含まれ高カロリーです。そうした食品のために体重が増加し、2型糖尿病や循環器疾患、がんなど非伝染性疾患のリスクも高まります」と指摘しています。
いまこそ求められている食事指導
感染対策のために身体的距離(フィジカル ディスタンス)を確保し、人々は社会的な相互作用の能力に制限をかけることを強いられています。リモートワークが増えたことで運動不足になった人も少なくない。
これが不安を増長させ、孤独と孤立を増やす。「こうした負の感情は、外出自粛と合わさって、私たちの食事行動に影響し、食べ過ぎに追い込みやすいのです。これに運動不足が組み合わさることで、さらに肥満になりやすくなります」と、ノースカロライナ大学ポプキン教授は言っています。
肥満症は世界中で患者が増えており、世界の人口の20%が過体重あるいは肥満症と推定されている。米疾病対策センター(CDC)は、2017~18年に米国の成人の42%が肥満に相当すると報告しています。
まとめ
肥満がコロナ感染リスクを上昇させ、高度肥満でワクチン効果が薄れる恐れがあるという研究が発表されましたので、記事にしました。
コロナウイルス感染症の罹患リスクや入院、死亡のリスクを回避するためにも健康的な食事や、運動習慣、肥満の自覚がある人は体重のコントロールも重要でしょう。
この点では、サイクリングは、身体的距離を保ちつつ、肥満の解消や予防に効果があり、コロナ時代に最適な趣味の一つと言えるでしょう。
まだ暑い日々が続きますがもうすぐ秋ですね。サイクリングを始めるといろいろ良い方向に向かうと思いますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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